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ENSHO-AN

煙晶庵

その他

新築

愛媛県松山市

2026

Project Data

プロジェクトデータ

業務範囲

EXTERIOR DESIGN

所在地

愛媛県松山市道後鷺谷町

用途

屋外喫煙所

構造

t4.5mm 鋼板モノコック構造

面積

約3㎡(0.9坪)

製作

(有)西永工業(西永拓郎)

仕上

左官調水性塗装(Heymes PAINT)

施設公式サイト

https://www.dogomiyu.jp/

Outline

プロジェクト概要

温泉ホテル〈道後御湯〉の小さな庭の片隅に建つ喫煙小屋

〈煙晶庵〉は2018 年にオープンした温泉ホテル〈道後御湯〉の小さな庭の片隅に建つ喫煙小屋です。
一枚の鋼板を折り紙のように立体化した小さなオブジェのようなこの小屋は、一見すると建築家の恣意的な“手クセ” による偶発的な形、あるいは喫煙所という単純な機能に対して過剰な造形的遊びに見えるかもしれません。しかし、今や一種の“嫌悪施設” と成り果てた感のある喫煙所を「仕方なくそこにある」施設から「そこにあるべき」必然性を帯びた場所へと転換するには、数多くの思考と試行を重ねる必要がありました。
瀬戸内の凪を砕石と石畳で擬いた石の庭と雑木林が織り成す景色に静かに溶け込みつつ、その中の特異点となって風景を再構築すること。非喫煙者にとっては忌避の対象でしかない喫煙という行為とその場所に、風景の中で適切な距離感を与えること。さらには、願わくばそこで煙草を燻らす僅かな時間にもこのホテル全体に流れる独特の空気を感じられるようにすること。これらの課題への解となる最終的な形態と質感は、“デザイン” の気ままな媚態と冷たい合理性の間、作為と無作為の間の僅かな隙間を射抜くような繊細さと思い切りによって得られたものです。
5 トン弱の鉄板の折り紙は、その質量も積み重ねられた思考の重さも感じさせず、以前からずっとそこにあったかのように軽やかに着地し、微かにシュールレアリスティックな異物感を漂わせつつ新たな風景を生んでいます。その佇まいは、どんなに小さく単純なものであっても真の意味で建築的な介入が可能であることを示すものです。
竣工後、ここに煙草を吸いにくる宿泊客の数が明らかに増えたとか。
時代の流れからすると微妙な結果ではありますが、建築家としては喜ばしい話です。